中小企業のDX

DX(デジタルトランスフォーメーション)という言葉がマスコミなどで取り上げられる機会が多くなりました。企業や組織がデジタル技術を取り入れて業務プロセス、ビジネスモデル、顧客経験を根本的に変革することを指します。

先進的な企業では、デジタル技術を用いて新たな収益源を生み出したり、業務効率を上げたりするビジネスモデルの革新が実行されています。データ分析やAIの活用により、より迅速かつ正確な経営判断を行う意思決定の高速化も普及してきました。デジタル技術を活用して、顧客体験を向上させる取組み、例えばECサイトでのパーソナライズされた商品リコメンドなど、顧客体験の改善が進んでいます。デジタル化によって、業務プロセスを大幅に効率化し生産性を向上させる業務プロセスの効率化は、DXが叫ばれる前から広く行われてきました。

翻って、資金も人材も限界がある中小企業では、どのようなことに取り組めば世の中にあるDXの進歩の恩恵を得られるのでしょうか。

製造業では、ロボットやAIによる自動検査機などの導入による生産性向上、3DプリンタやCAEによる設計・試作の高速化・高精度化、生産ラインのIoT化によるデータ収集と改善サイクルの高速化で不良率改善・リードタイム短縮、取引先とのコミュニケーションをデジタル化して製造から出荷のプロセスを透明化・効率化、などが取組みのテーマとなるでしょう。

小売業・サービス業では、SNSやWebサイト、googleマップなどによるWebマーケティング、QRコードによるモバイル決済の導入、ECサイトによるオンライン販売の導入、売れ筋商品・死に筋商品の分析や顧客の購入履歴の分析による販売施策立案・在庫管理、家具や化粧品などVRによるユーザー使用時のシミュレーション、などが挙げられます。

どの業界であっても、基本となるのは、伝票や書類を手書きからデジタルデータとして記録・保存・蓄積して、情報を共有すること、電話、FAX、郵便、口頭での指示をデジタルネットワークでつなぎ、距離や場所の制約をなくすこと、つまりデジタル化・ネットワーク化することです。

Microsoft社のエクセルを使って各種データの入力、保存、計算、印刷に使っている中小企業は多いでしょう。昔、電卓で手計算していた業務は多くが自動化されており、担当者間でのデータの受け渡しも電子的にできます。しかし、少し高度な処理を加えるにはマクロやVBでプログラムを作る必要があり、できたとしても担当者が変わるとトラブルが起きたとき分からなくなるなど、管理上の問題があります。また、複数の人が同時に同じファイルをアクセスして各人がデータを変更すると、混乱が起きます。エクセルでは業務の効率化を更に進めようとしても、限界があると感じている企業が多くなっています。

かといって、ITベンダーが勧めるツールは価格が高く、また、自社業務にマッチするのどうか分からず、二の足を踏んでいる状況、ゼロからソフトを開発するなど、思いもつかない企業が大半でしょう。

そのような中小企業に希望を抱かせる技術がノーコード・ローコードツールです。プログラミングせずともユーザーがアプリが作れるノーコードツール、さらに自社の業務に合わせて細部はプログラムを作りこめるローコードツールがリーズナブルな価格で利用できるようになってきました。Microsoft社PowerApps、google社AppSheet、サイボウズ社キントーンなどが代表的なものです。

コンピュータやプログラミングに縁のなかった文系の若手社員が独力でノーコードツールを習得して会社の業務を大幅に効率化でき、ヒーロー・ヒロインになったという事例がニュースになっています。無料でお試しできますのでトライしてみてはどうでしょうか。