生産性向上とIT/IoT

商品の売上げデータをリアルタイムに吸い上げるPOS(Point of Sale)はコンビニをはじめ小売業の業務を劇的に効率化しました。さらに消費者の性別や年齢層などの属性を取り込んで仕入れ予測の精度を上げる努力が続けられています。

POSを製造業に当てはめたPOP(Point of Production)の考え方は日本で始まり30年以上の歴史があります。従来POPを導入した現場では、POSと同様に生産データは作業員がバーコードリーダなどで入力作業をしていましたが、機械が自動でデータを読み取るRFIDリーダやカメラによる画像認識AIなどを使い、生産進捗状況のリアルタイムの把握や工数管理、履歴管理が精緻化し、更に高度なQCDの改善・最適化が進もうとしています。

現場カイゼンの第一歩は、「見える化」だと言われています。生産工程の状況を正確にリアルタイムにデータ収集するのに、IoTは威力を発揮します。データを収集し、分析することで、生産能力やコストの実態を客観的に知ることができます。そして、特に問題の多い箇所が抽出でき、ポイントを絞って対策が打てます。さらに、打った対策の効果の有無がデータで分かります。このようにしてPDCAが継続的に回せるようになります。

多品種少量生産が多い中小企業にとっては、POPなどの設備投資は負担が重いという状況があります。ところが、IoT向けのデバイスやコンピュータはFA製品と比較して大幅に低価格な品物が多く販売されています。WiFiや3G/LTEなどの無線ネットワークも価格が大幅に下がってきています。

最近では、製造業のみならず、流通業、医療・福祉、農業などでもIoTやAIの導入が増え、ネットワークやクラウド、センサーなどをパッケージ化して、高額の初期投資が要らず月額利用料を払えばすぐ導入して使える「IoTプラットホームサービス」が複数の業者から販売されています。また、試験的に導入し、実験する費用への補助金やIoTやAIを導入する設備投資への助成など公的支援が利用できます。

IoTによる生産性向上の事例

 

自動販売機の商品補充

ミネラルウォーターやコーヒーなどの飲料をマチナカ、エキナカで買える自動販売機は、モバイルネットワークで集めたデータを使って効率的に商品を補充しています。

続きを読む

 

自動車部品加工の稼働率向上

自動車部品加工工場のプレス加工機械に取付けたセンサや信号灯の状態を検知するセンサの情報を収集し、分析することで改善すべき箇所を突き止めて稼働率を大幅に向上させました。

続きを読む

 

ボイラーの保守をリモートで

24時間365日の連続稼働が当たり前の設備は多数存在しますが、夜間・休日も対応しなければならない保守作業員の苦労は並大抵ではありません。ボイラーの温度・水圧などを常時モニタリングし、故障を未然に防ぐことができるようになり、保守作業員の負荷を軽減しました。

続きを読む